2008年
ニフコの未来、そしてクルマの未来に寄与する商品を企画・開発する
ニフコ入社当初から自動車の内装トリム部品を締結する樹脂ファスナーの設計や、配管を固定する樹脂クランプなどの商品設計を手がけ、経験を重ねていく中、3年目にして初めて、新商品開発のチャンスを得た。開発テーマは、部品の複数の厚みに対応する新しい2ピースファスナーだ。難しいのは、部品が薄い時と厚い時でいかに留め方を変え、許容できるものをつくるか。ニフコのさまざまな過去の部品を参考にしつつ、アイデアが思いつくたびに設計を行ったが、結局、今ある既存商品に行き着くなど、なかなかうまくいかなかった。先輩からアドバイスをもらいながら試行錯誤を経てようやくカタチになった時、上司へ開発品の説明を行ったところ、「これ、君が考えたの?」と、当時の自分にとって最高の褒め言葉をいただいた。この体験が嬉しくて、その後は業務の合間にふと思いついたことがあれば、何か新しい商品がつくれないか考える習慣が身についた。
2013年
複数の製品を同時に担当。チームで仕事を進める大切さを知る
入社8年目、難しい案件を任せてもらうのが当たり前になってきた頃、複数の自動車内装機構品の設計を同時に担当することになった。自信を持って臨んだのだが……。ある日は、A製品のレビュー会で性能評価と改善要望で宿題だらけに。そして次の日には、別の客先に呼ばれ、B製品の進捗について問い正される。日々、山のような仕事に追われ、スケジュールは厳しくなっていく一方に。そんな苦しい状況でも先輩や上司に相談することなく、自分一人でやりきろうと頑張った。しかし、自分の力だけでは限界があり、ついにグループリーダーに状況を説明し、助けを求めた。その後は一気に気持ちが楽になり、先輩や同僚の協力によりどちらの製品も量産にこぎつけることができた。このとき痛感したのは、一人ではなく、チームで仕事を進める大切さ。職場には相談しやすい雰囲気があったにもかかわらず、中堅の立場となったことで、勝手に一人で背負い込みすぎていたと深く反省した。
2014年
ニフコアメリカで現地スタッフと新商品を開発
入社以来、同じ部署で働いてきて、このあたりで環境を変えてみたいと思っていた矢先、海外研修の話をいただき、即座に承諾。ニフコアメリカで1年間働くこととなった。任務は、現地スタッフに混ざっての設計業務と、日本とアメリカ共通のグローバル機種の進捗管理だ。最初は英語が全くしゃべれず、現地スタッフが話しかけてくれても話が続かないありさま。しかし、これまでの自分の設計の経験とスキルを活かした仕事ぶりが徐々に現地のデザインマネージャーに認められ、難しい案件を任されたり、アドバイスを求められるようになったりした。中でも思い出深いのは、現地の設計者と一緒に、新しい構造を持つ新商品を開発し、この構造で特許を出願したことだ。また、帰国直前には社内の成果報告会で現地スタッフに混ざり私も開発品のプレゼンを行った。発表内容はもちろん、私が英語でプレゼンしていること自体を、みんなが褒めてくれたことも忘れられない出来事だ。
2019年
10数人の設計者を率い、マネジメント業務を担う
10数名の設計者を率いて、営業からきた依頼書から、難易度を見極めて、担当設計者への業務の振り分けを行い、各設計者の業務の進捗管理やフォロー、設計した製品のレビューや製品図面のチェック作業などを行っている。その中で大切にしているのは、個人の決断を尊重し、成功体験を増やしてあげることだ。自分が若いとき、色々チャレンジさせてもらい、苦労はしたが、その時期があったからこそ “ものづくり”の面白さを知ることができただけに、今の若い人たちにも同じように、自ら試行錯誤した上での達成感を味わってもらいたいと思っているのだ。だから、若い設計者が私のところに「自分ではいいものができたと思っているのですが、アドバイスをもらえますか。」と相談にくると本当にうれしい。これこそ指導者冥利に尽きると言える。
未来へ
ニフコらしいチャレンジ精神にあふれた設計者を育てたい
働くだけ働いて成果を出すという働き方よりも、限られた時間の中でいかに効率良く働いて成果を出すか。私が入社した頃とは、ニフコの働き方も大きく変わっている。そうした中で、若い設計者たちを指導する立場として心がけているのは、効率重視になるあまり、リスクを避けて、新しいことに挑戦する機会が減らないようにすることだ。そのためには、本来得るべき知識や経験の場がなくならないような、指導方法や環境づくりに取り組んでいきたいと考えている。試行錯誤の日々は続いているが、ニフコらしいチャレンジする意欲にあふれた設計者を一人でも多く育てていくことが最大の目標だ。また、海外経験を活かして、国内のみならず、海外拠点でもさまざまな外国人の若い設計者を育てていきたいとも思っている。グローバルレベルで設計者を育成することは、ニフコの未来の可能性をさらに開いていく原動力になるだろう。
PROFILE
H.T
開発本部 ADAS商品開発Unit
趣味は子どもと遊ぶこと。子どもが電車を好きになれば一緒に名前を覚え、ヒーローにハマれば一緒に遊ぶ。もしかすると子どもに以上に楽しんでいるかも!?